カジワラヨウスケ建築設計

天満木材工業新社屋

大正時代から続く今年で創業100周年を迎える材木屋兼工務店の本社建替え計画。
社名にある天満は傍を流れる天満川を利用して丸太を運び入れ、製材・加工したのち再び川を利用し運び出すという川を軸とした商いを行っていたということと、当時は本計画地が天満町という地名であったことから天満という社名にしたという。太田川デルタの支流の一つである天満川を利用したこの営みは、広島市が進める「水の都ひろしま」の原形ともいえる。
日本の建物において木材の利用は水との関係を十分に考えることが重要であると常々考えている。とりわけ材木屋においてはその関係が明解であることが木材を扱う者としての美学ともいえる。「適した箇所で使用することで木材の良さを最大限引き出せる」と言われたのが印象的だった。一枚の屋根を介し、雨を受け流す勾配屋根と裏面の軒天を木質化し乾いた空間を作り出す。湿と乾を明解に表現したファサードをつくりだした。道に向けて屋根勾配をとることで表から雨の流れを視覚的に感じることと併せて平入の伝統的なファサードも意識した。
既存の事務所では一部屋で、打合せの際もいろんな方向から話に加わってワイワイしながら打合せするような近い関係のにぎやかな事務所だった。その近い関係を新事務所でも踏襲できるよう、勾配屋根を利用した吹き抜けにより繋げる。段状の事務所断面とし、声が聞こえる賑やかな事務所となるよう心がけた。施主の要望としては開放的で迎賓性のあるエントランスを求められた。前面道路に向けてはガラスのスクリーンとし木質化した軒天が内部まで入り込むディテールとし、続く1階2階の勾配天井を木格子でつくり、内と外が繋がる開放的で迎賓性のある内部空間をつくりだした。

 

所在地:広島県広島市
用途:事務所兼工場
延床面積:479.37㎡
構造規模:鉄骨造2階建
構造設計:坂田建築工学研究所 坂田憲彦
          広島工業大学 建築工学科講師 岸本貴博
施工会社:天満木材工業株式会社
竣工:2022年10月
撮影:黒岩翼

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